米ロ首脳会談

米ロ首脳会談が開かれました。ここでは、中東とこの首脳会談について考えます。

見方1:地理的にイスラエルとアメリカを中心としたアフガニスタン駐留軍に挟撃される。→イランが不利。

今回も、この見方1から各国がどのような牽制を行っているか見ていきましょう。

見方2:アフガニスタンに駐留することになる膨大な兵力の補給線がイランと補給線近くに勢力があるタリバン勢力により圧迫されアフガニスタン駐留軍が非常に危険な状態に陥る。また、アフガニスタンを取り囲むような位置にある上海協力機構諸国が陰に駐留軍の活動を妨害する可能性がある。→イラン有利

6月15日、ロシアにて上海協力機構・首脳会議が開催されエカテリンブルク宣言が発表されました。ここでは、アメリカ、ドルに対抗する意味合いの話し合いがなされると共に、キルギスにおける米軍の拠点であるマナス空軍基地の存続が決定されたと報じられています。

キルギスは今年2月、米軍の中央アジア駐留を嫌うロシアからの20億ドルの支援と引き換えに米軍駐留の拒否を表明していました。しかし、3月27日、上海協力機構・アフガニスタン特別会合に日米が招待されるなど反米色の色濃い組織ながら微妙な動きがあったことから注目されてきました。

今回のキルギスにおける米軍基地の存続決定にはいくつかの注目すべき点があります。

1. 物資輸送センターを新設
2. 非軍需物資に限定される
3. 年間基地使用料が17億円から57億円へと約3倍に跳ね上がっている。

キルギスにおける米軍基地の存続は以下の点とあわせて理解すべきでしょう。

見方3:パキスタン経由の危険な補給線だけでなく、ロシア経由でアフガニスタンへの補給をする必要が生じ、対立してきたアメリカはロシアとの関係改善が必要になる。→イランが有利

米露は激しく対立しながらも、ロシアはアメリカに何かしらの譲歩を与えてきました。特に中央アジアにアメリカ軍が駐留することについて、ロシアはアメリカを完全に排除しようとはしていないという印象を受けます。

米軍が中央アジアに進出して以来、中国の新疆ウイグル自治区における暴動は非常に大規模なものになってきています。これは米軍の駐留と無関係だとは言い切れません。中央アジアにおける中国のライバルとしてロシアは近隣諸国(イラン・インド等)、アメリカをこの地域に関与させ、中国をけん制したいと考えていると思います。

このような情勢の中、7月6日米露首脳会談が行われます。ここでの注目点は2点です。

1. 戦略核弾頭の削減目標を盛り込む枠組み文書の合意
2. アメリカのミサイル防衛東欧配備計画に対するロシアの反応とアメリカの出方

ロシア側は、東欧に配備されるミサイル防衛網がイランに対してのものだというアメリカ側の説明を拒否し、あくまでもロシアに対抗するためのものだと考えています。MD網の配備は次にみる見方4と関連があります。

見方4:状況が不利になったイスラエルはアフガニスタンのイラン側を支援するため単独でイラン空爆。

7月5日、バイデン米国副大統領はイスラエルにはイランの核開発を阻止するために軍事行動を起こす「主権国家としての権利」があると発言しました。そして、「イスラエルは主権国家として、自国の最大の利益が何か自ら決定できる。ネタニヤフ政権が現行と異なる行動方針を決めても、それは彼らの主権の問題であり、われわれが選択したものではない」とも発言しています。

7月6日、イスラエルは潜水艦1隻を紅海での演習に参加させるためスエズ運河を通過させました。ニュースでは、イランにメッセージを送る意図があると書かれています。

しかし、米露首脳会談が同時に控えていることから、イランに直接メッセージを送るというよりもこの米露首脳会談に圧力をかける目的があるのではないかと考えています。つまり、イランを支援しているロシアにアメリカは譲歩せずMD網を東欧に計画通り配備してほしいというメッセージです。ロシアへの譲歩は、イランに対する軍事攻撃にエスカレートする可能性があるというメッセージとも受け取れます。

7月5日のバイデン副大統領の「われわれが選択したものではない」という発言は、イスラエルに対する牽制の意味が込められていると読み取れるでしょう。

米露間の関係改善は、見方3から必然的にイランを有利な立場に立たせてしまうためにイスラエルは牽制を行っていると見ることができると思います。

イラン・イスラエル間の関係は、前回記事を書いた時よりも切迫の度合いが高まっていると感じています。
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by Naotaka_Uzawa | 2009-07-07 09:48 | 国際情勢

For Future Reference代表。編集者、ストーリー分析など。執筆に挑戦する方とご一緒に活動しています。ブログでは仕事とは少し離れて大学時代から関心のあった国際情勢や哲学、関連書籍について発信しています。


by Naotaka_Uzawa
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