ツキジデス 『歴史』 その一

 「正義は力の等しい者の間でこそ裁きができるのであって、強者は自らの力を行使し、弱者はそれに譲る、それが人の世の習いというものだ。」

 第5巻のメロス人とアテナイ使節のやりとりのなかで出てくる一節です。解説によるとツキジデスはアテナイの道徳的なものの見方の退廃を批判的に捉えているとの事です。

 ツキジデスは、ペリクレスが活躍していたアテナイの全盛期にその生を受け、ペリクレスのものの見方に親近感を抱いていたと言われています。

 ペリクレスは「冷静を保ち、海軍に意を用いて、戦争中は支配圏の拡大を求めず、ポリスに危険を招かないように」という原則に従ってスパルタ及びその同盟国との戦争に臨みました。しかし、アテナイ人の気質は積極的なものです。メロスでの出来事の後、アテナイはシチリア島全域を支配しようとして失敗し艦隊は全滅します。

 以前、『ネオコンの論理』を読んだときのあの簡潔さはツキジデスが批判的に捉えている見方に似ているものかもしれないと思いました。

 新保守主義者と言われている人たちの、思想的支柱となっている人たちはツキジデス等の古典をよく読み、外交の参考にしていると言われています。彼らがどのようにツキジデスを読んでいるのか、聞いてみたいような気がします。

 現在のアメリカは、「支配圏の拡大を望まず、危険を招かず」という原則を貫き、同盟国民のアメリカに対する求心力を維持する努力がもっと必要だと感じます。

 さて、ツキジデスコーナーをどのようにしていこうか。。。
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by Naotaka_Uzawa | 2004-04-26 22:13 | ツキジデス:『歴史』読解