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2009年 10月 10日
今回お伝えするのは、
①米露関係:米国が東欧のミサイル防衛基地設置を撤回 ②イスラエル・ロシア首脳が会談したこと ③米国国内でアフガン基本政策について論争が起きていること に焦点を当て考えていきます。 見方1:地理的にイスラエルとアメリカを中心としたアフガニスタン駐留軍に挟撃される。→イランが不利。 今回も、ここを出発点としてニュースを考えていきましょう。 見方2:アフガニスタンに駐留することになる膨大な兵力の補給線がイランと補給線近くに勢力があるタリバン勢力により圧迫されアフガニスタン駐留軍が非常に危険な状態に陥る。また、アフガニスタンを取り囲むような位置にある上海協力機構諸国が陰に駐留軍の活動を妨害する可能性がある。→イラン有利 まずは最近の流れから見てみましょう。 10月3日、アフガニスタン東部、国際治安支援部隊(ISAF)の前線基地をタリバン兵約300人が攻撃し米兵8名が死亡。 10月4日~5日、アフガニスタン国防軍は東部および南部に展開しタリバン兵約100名を殺傷。 10月5日、パキスタン軍28000人がタリバンの補給路を断ち、周辺に兵力を配置することによって陸路を封鎖する目的でアフガン国境に近い北西部部族地域に展開。 10月6日、パキスタンにおけるタリバン運動に新指導者が誕生。 アフガニスタン東部・南部、パキスタン北西部は非常に混乱しているとみていいでしょう。これに関し、アメリカ国内では論争が起こっており、政権中枢において意見を2分するほどのものとなっています。 1つは政権中枢部の意見です。バイデン副大統領、ジョーンズ大統領補佐官(国家安全保障担当)、メニュエル首席補佐官らのグループは、「アフガンがタリバンの手に落ちる差し迫った危機はない」とし、「増派よりアルカイダに標的を絞った対策(無人攻撃機などの手段)が必要」であり、「パキスタン・アフガン国境付近のアルカイダの聖域に対策を絞る必要がある」というものです。 もう1つは軍関係者の見解です。アフガン駐留軍・ISAF司令官を兼任しているマクリスタル司令官は、「(増派がなければ)1年以内に情勢を反転させないと(タリバン)掃討が不可能になる。」として、年内完了の2万1千人の増派に加え、最大4万人の増派を公式にオバマ大統領に求める予定と伝えられています。また、政権中枢部グループの意見を「短絡的」として批判しています。 これについて、政権を2分しているという見方と意見をあぶりだしている段階で最終的に大統領が決断するとの見方がありますが、どのような形になるのか注目する必要があります。 見方3:パキスタン経由の危険な補給線だけでなく、ロシア経由でアフガニスタンへの補給をする必要が生じ、対立してきたアメリカはロシアとの関係改善が必要になる。→イランが有利 9月17日、オバマ政権は東欧におけるミサイル防衛計画を全面的に見直す(中止)と発表しました。 ロシアとアメリカの関係を改善させるための決定です。 東欧におけるアメリカのミサイル防衛計画とは、ポーランドに迎撃ミサイルを配備し、チェコにレーダー施設を建設するというものです。このミサイル防衛計画をロシアは自国を標的としたものだととらえ、反発してきました。そしてキルギス、グルジア、ウクライナ等の旧ソ連圏の国家で起こった親米政権の樹立(革命)と合わせて考慮した結果、ロシアは中国との連携を優先させてきました。 アメリカのような海軍国の伝統的な戦略は、ユーラシア大陸の国々が一致団結するのを防ぎ、大陸から海に進出する勢力が生まれるのを防ぐというものです。今回の決定は、今まで上海協力機構を通じアメリカに対抗してきたロシアと中国の関係が変化する重要な一歩だと見ることができるでしょう。 しかし、アフガンへの増派は隣接するロシアや中国にとっての懸念事項であるため、ロシアの協力は得られやすくなりつつあると言えども、注意して観察していく必要があると考えられます。ロシアは、今回のアメリカの決定を歓迎しつつ、疑いの目をもってイランへの武器供給などでアメリカを牽制していくことと考えられます。 この文脈の中で、次の見方4でロシアとイランの関係、イスラエルとイランの関係を見ていきます。 見方4:状況が不利になったイスラエルはアフガニスタンのイラン側を支援するため単独でイラン空爆。 中国の力の増大によって、アメリカと中国は資源、勢力等で世界的な競争関係に入っていくことと考えられます。そのため、いずれ何かしらの紛争が発生する可能性さえ考慮しなければなりません。問題は、いつ、どこで発生するかであり、それぞれの地域では自国周辺で起こらないよう様々な駆け引きが行われる可能性が高いと思います。 今回の東欧におけるミサイル防衛計画の中止は、ロシア・中国とアメリカの対立からロシアが一歩後退することを意味していると考えられ、ヨーロッパが「世界的な競争関係」から生じる争いから解放される可能性を示唆するものであり、ヨーロッパ各国は概してこの決定を肯定的に捉えています。 「見方4」では、イスラエルとイランの間で起こる可能性がある紛争を、この「アメリカと中国の世界的な競争関係」の中東版として捉えてみようと考えていました。 今回は、今までイランの後ろ盾として行動しているロシアとイスラエル首脳が会談したという話について考えていきたいと思います。 まずは、最近の動きから見てみましょう。 中東・アフガニスタン周辺の最近の動き 4月10日ロシアがイスラエルから無人偵察機購入を決定 →8月メドベージェフ大統領とイスラエル・ペレス大統領の会談もし、イスラエルがイランを攻撃したら、ロシアはイランを支援するかという質問に、「イスラエルはイランに対する軍事攻撃の計画を持っていないと語った。私はそれを信じる。」 9月7日メドベージェフ大統領、イスラエル・ネタニヤフ首相の会談 ロシアに、イランへの対空ミサイル、シリアへの対戦車ミサイル、レバノンのヒズボラへの支援等をやめるよう求める。 9月19日国際原子力機関(IAEA)、イスラエルに核査察受け入れと核拡散防止条約への加盟を求める→日米反対、中国・ロシア賛成。イスラエルは「協力しない」。 9/23米露首脳会談 →ロシアはアメリカに「中東非核化」を提唱し、イスラエルに圧力をかけるよう求める。 9月28-29日イラン、ミサイル実験 →イスラエル・ペルシャ湾岸諸国を射程内に収める9月28日ロシアの談話「今は感情にまかせて行動すべきではない。我々は冷静になるよう努めるべきであり、イランとの生産的な交渉プロセスを開始することが肝要だ。10月1日に行われる国連安全保障理事会にイランは手ぶらでは来ないよう期待する。」 9月29日イラン国際原子力機関(IAEA)の核査察受け入れへ 10月7日米政府・議会、イランへの追加制裁準備 →金融、燃料など包括的な制裁を準備 10月8日国際テロ組織アルカイダ、新疆ウイグルでの対応に対し中国に報復宣言 ロシアとアメリカが協力できる可能性が高まるにつれて、イラン・イスラエル間の対立が、「アメリカと中国の世界的競争関係から生じる戦争」という文脈から、「地域的な対立関係」へとその規模を縮小させつつあると考えることはできないでしょうか? しかし、冷戦時代は各国間の争いが抑制されたものとなっていたが、ソ連解体後押さえつけられた民族間の争いが表面化したように、「地域的な対立関係」にスケールが縮小される方が紛争が起こりやすくなると考えられます。 ※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
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