国際関係とは?

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 『レパントの海戦』(塩野七生 著)を読みました。この中の最後の解説にこういう言葉がありました。

 「国家の安定と永続は、軍事力によるものばかりではない。他国がわれわれをどう思っているかの評価と、他国に対する毅然とした態度によることが多いものである。」(ヴェネツィアのバルバロ大使)

 以下、ツキジデスの『歴史』ではどのように書かれているか、参考になりそうな部分を挙げてみたいと思います。

①「軍事力」
  「正義は力の等しい者の間でこそ裁きができるのであって、強者は自らの力を行使し、弱者はそれに譲る、それが人の世の習いというものだ。」(五巻89)

②「われわれをどう思っているかの評価」
  「われわれは親切を受けてではなく、こちらから親切を実行して、友人を得る。恩恵を施す者の方が、施した好意を持ち続けて、相手からの感謝の念を保持しようとするがゆえに、ますます信頼される友となる。他方、恩義を受けた者の方は、親切を返す場合にも好意にはならず、当然の恩返しと見られることを知っているがゆえに、むしろ疎略になってしまうものである。」(二巻40 ペリクレスの追悼演説)

③「他国に対する毅然とした態度」
  「些細な問題こそ、諸君の決意を確証し試験する一切のものなのである。もしも諸君が彼らに譲歩すれば、この件で諸君は恐怖に駆られて屈服したのだと彼らは考え、直ちに別の更に大きい要求を諸君に突きつけてくるであろう。しかし諸君が断固として拒否すれば、むしろ対等の立場で諸君と交渉すべきであることを、彼らに明確に示してやることになろう。」(一巻140 ペリクレスの演説)

 

 現在の私たちから見ると、ツキジデスの『歴史』におけるアテナイの態度は非常に強気のものだと見ることが出来ます。それは結局、①軍事力において、アテナイが非常に優勢だったというところに基礎があるとおもいます。

 一方、『レパントの海戦』におけるヴェネツィアは、トルコに対して非常に苦しい立場でした。そして、この本の中では、地中海世界が世界史の表舞台から去り、ヴェネツィアの繁栄が終わりにさしかかった頃でもあると書いてあります。

 日本は、一国としては衰退していますが、日本周辺は経済的にこれからの地域に存在しています。多分、このヴェネツィアの状況と違った明るい要素だろうと思います。軍拡と共に戦争を避ける努力が必要だと思います。
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by Naotaka_Uzawa | 2004-07-12 14:19 | ツキジデス:『歴史』読解